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まず、この仕事場だけど、かっこいいですよね。どうやって手に入れたんですか? |
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I |
僕は、前から何となくこの宝塚(兵庫県)が気に入っていて、将来、生活したり、
仕事したりする場としては、宝塚を選びたいって思っていたんです。
大学を卒業後に就職した設計事務所を、2年程前に辞めて独立した時、
どこで生活したい、どこを仕事場にしたいって自分に問い掛けたら、
やっぱり宝塚だったんですよね。
それで、築30年越えのこのボロっちいマンションを安くで買って、自分の設計で
リフォームしたんです。 |
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D |
この部屋、飯田さんの趣味が出てますね。とくに、このエッチな鏡なんて・・・(笑)
(編集部注:壁一面に鏡が張ってある) |
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I |
バカなこと言わないでください(笑) でも、この部屋に来た男はみんなそう言う。
これは、部屋の狭さを感じさせないことと、置いてある植物などが、鏡に映ることによって、
さらに緑豊かに鮮やかに見えるようにしてあるんですね。 |
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D |
いつも思うんですけど、建築って、アイデアが大事ですよね。
ものを作る時、どんなアイデアを盛り込むかを初めから考えていないと、
後でどんなに努力しても限界ってこともありますもんね。 |
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I |
そうなんですよね。それと、仕事には、 「涙」と「笑い」と「感動」が必要なんだと思っています。 |
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D |
「涙」と「笑い」と「感動」ですか。藤山寛美の松竹新喜劇みたいですね。 |
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I |
そうです。設計という仕事に取り組む時に、僕がいつも心がけているのは、
お客さんとの仕事のプロセスを僕自身がいかに楽しむか、
そして、いかにお客さんに楽しんでもらうかなんです。
例えば、ある土地に、家を建ててもらいたいという設計の依頼が来た場合、
僕らは、毎日のように家というものに関わっているけど、お客さんにとっては、
人生の中の大イベントのひとつなんです。
だから、そんな大事なイベントを業務的に済ませちゃうと、
僕もお客さんも後で大きな後悔をすることになると思うんです。
一緒に土地を見に行ったり、お客さんの住宅への思いを
何時間でも聞いたり、メーカーのショールームを一緒に見に行ったり、
図面を提出する時にも、それなりの演出をしたり。
とにかく、家が出来るまでの間、自分と過ごす時間を楽しんでもらいたいと思っています。 |
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D |
なるほど、それはいい考えですね。
今、建築家によるデザイン住宅が流行っているけど、
結構、出来た作品にスポットが当てられていますよね。
でも、本当に大事なことは、モノを作るプロセスそのものなんだということですね。
「結果だけではなくプロセスを楽しむこと」。
でもこれは、モノづくりだけでなく、人生そのものでもありますよね。 |
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I |
そのとおりだと思います。 |